ナビゲーター:本間智美(Artist collective OBI)


かつて角兵衛獅子の一党すべてが、年に1度帰郷し、守護した角兵衛地蔵尊にその芸を競演奉納して尊霊を慰め、道中の安全祈願をして、また全国に旅立ったそう。その例祭が起源とされている月潟まつりは、月潟地区の住民にとって大事なお祭り。

 

 

元料亭で片づけ作業していたら、たまたま散歩途中の姉妹に出会う。聞いてみれば、足腰が弱くなったおばあちゃんの代わりに、どぶ掃除をしに帰って来たのだと。幼いころから地域で大事に育てられた子供たちは、月潟を愛して、進学や就職・結婚など、やむなくここを去っていくが、みな口を揃えて、いつか帰ってきたいと言う。その柔らかな愛情は、旅人のように現れた私たちをも包み込んでくれている。

私たちもそのどぶ掃除に参加させてもらった。年間を通しての降雨や、地下水をくみ上げた消雪パイプから流れる水などで、土が流されカチカチに固まった溝の蓋を、特殊な機械を使って、ひょいっとあげていく。なんとも和気あいあいと進めていく。早起きした眠気はすぐに吹っ飛んだ。最後にあんパンをいただいて解散。

 

 

祭りの数週間前から神社の草取りや、角兵衛獅子の舞台が住民たちの手によって組み上げられていき、数日前からは、だんだん町中が、祭りに向かう高揚感に包まれていく。神社に吊り下げられる灯篭。各班の集会場所になるテント。笑顔で進められていく準備風景を見ていると、こちらも幸せになる。きっと子供たちもその背中を見て、幸せな記憶を刻むのだろう。

 

 

月潟まつりは前夜と当日合わせて、2日間に渡って行われる。現在は「伝統芸能フェスティバル」が同時開催され、角兵衛獅子の舞や月潟太鼓の奉納をはじめ、月潟商店街が歩行者天国となり、子ども山車行列、民謡流し、月潟小マーチングパレードなどが繰り広げられる。

 

前夜祭。

 

子供たちの山車行列、そして民謡流しで、いつもひとの姿をほとんど見かけないこの商店街が、なんだか昔にタイムスリップしたかのように、一瞬にして華やかな夢の世界へ。ところどころにある各班のテントで大人たちが宴を催し、このお祭りに合わせて帰郷してきた若者たちと庭先でバーベキューしている姿も。まるで大きな廊下を挟んで、各クラスで文化祭を楽しんでいるかのよう。

 

 

傑作は、商工会青年部有志による仮装行列。聞くところによると、かつては恒例の行列だったとか。念願の復活をさせた樋浦さんは、数年前からひとりで仮装して奮闘。考えてみると白根にも「白根子行列」という100年ぶりに復活させた仮装行列があるように、かつてのお祭りでは、これがデフォルトだったのかもしれない。

 

 

住民たちの高揚感は時計の針がてっぺんを過ぎても、まだ続いたようだ。翌朝、近所のお母さんに話しかけたら、そう笑って話していた。でも本当に月潟のお母さん方は、とにかく元気でユニークで明るい。月潟の明るさを作っているのは、お母さん方だと言って過言ではない。

 

当日。

 

歩行者天国で売られている様々な物品。久しぶりに立ち並ぶ出店に、子供たちも走り回っている。筆者おすすめは、姉妹市町村だった北海道月形町からとりよせるジンギスカン!旨さがぎゅっと詰まった甘すぎも辛すぎもしないソースに浸ったお肉。いつも人気で、買い求める人の長蛇の列。あっという間に売り切れてしまうそう。ほかにも、商工会青年部による毎年趣向凝らした品。そして地域ならではのお団子や、料亭でつくる様々なおつまみが、ビールを進ませるのは言うまでもなく!

 

イベントは、小学校マーチングバンド、中学校吹奏楽、月潟太鼓、周辺地域の神楽舞と続き、最後にお待ちかねの角兵衛獅子。

 

 

毎年の定例披露は、年に2回のみ。この月潟まつりと、9月に行う「大道芸フェスティバル」。貴重な機会に、遠くからファンやカメラマンたちが集う。

 

神社で奉納されるのを見ることができるのは、この月潟まつりのみ。かつて旅一座として活躍していた時代を彷彿させる。数年前から口上し、生演奏・生口上が聞ける。観衆の熱気と相まって力が入り、神社に響き渡る太鼓と声が、熱演を誘う。園児の頃から通い、ようやく舞台に立つのは10歳の頃。中学卒業までのわずかの間に披露する、彼らの雄姿をぜひ見に来てほしい。

 

 


令和6年度  月潟まつり 角兵衛獅子の舞 について

開催日 :    2024年6月22日(土)、23日(日)
詳細については、決まり次第掲載いたします。
主 催 :     月潟まつり実施協議会
担当課 :     新潟市南区役所月潟出張所内 月潟まつり実施協議会
電話番号 :  025-372-6905
FAX番号 :   025-375-5117