前回本間さんが紹介してくださった「町家」に、最近新しい動きがあるようです。その仕掛け人、加藤健二さんに今回はお話を伺います。

 

 

■現在、加藤さんは白根で町家に関するプロジェクトを立ち上げられたと伺いました。どういった取り組みか教えてください。

 

加藤:個人的に白根の空き家になっていた町屋を買い取り、今まさに改修というか、掃除をしたりしながら、まずは表を整えてイベントができるように整えています。屋号は「空屋(そらや)」。空き家だったことを生かしたネーミングで、空の明るいイメージも含めて、空き家をポジティブに捉えていこうと名付けました。

 

 

■個人で!購入の経緯を教えていただけますか?

 

加藤:もともと新潟大学の大学院生の頃から町家建築を研究していて、卒業後は長く小須戸エリアの町家を中心とした町づくりに関わってきました。その後白根に潜在的な、磨くと資源になる街並みがあると感じで関わり始めたのが2014年頃。街のマップを作るなど活動をしていた中で、ある時、別の空き家になっている町家を見に行くことになったんです。その時偶然、今の物件を売るか取り壊すかの話に立ち会って…土蔵がある家はなかなかないし、こんな機会自体二度とないかもしれないと思って購入を決めました。2020年1月のことですね。

 

■今はお住まいなんですか?

 

加藤:いいえ、自宅も、なんなら実家も別にあります(笑)。ここは住むには広すぎます。

 

■町家の魅力はどんなところにあるのでしょうか?

 

加藤:なんとなく“いい”と思わせる風情がありますが、それは突き詰めると、今の法規制ではできない工法が随所に見られているところにあると思います。壁がなくても成立しているなど、すごく高度な設計です。また全国の町家を見ていると、外観がまず地域によって全く違うんです。蔵造りもあれば漆喰の白壁のところもある。同じ日本なのかと驚きます。

 

■中を見られる白根の町家はありますか?

 

加藤:前回本間さんが紹介していた「ゲストハウス グーグー」が一番わかりやすいかもしれません。

 

 

加藤:基本的に、町家は人が暮らしている“住宅”なので、中は見ることはできません。ご商売されているところだと「やまとやパーラー」さんやお菓子の「みの口や」さんですが、店舗部分は改装されています。タウンガイドさんのツアーで町家にお邪魔することはあるので、そこがチャンスですね。

 

 

■白根の町家の特徴はどんなところにあるのでしょうか?

 

加藤:ここは昭和8年の大火から2年でみな建て替えたと聞いています。町家が一カ所にこれだけ残っていることは専門家の方からも驚かれます。そのために外からも大工を集めたらしいですが、それができるだけの力のある人が白根にいたとも言えますね。

 

 

■町家を残していく意義はどんなところにあると考えますか?

 

加藤:町家を残すことは、地域の文化、そして歴史を残すことにつながります。建物を全て今風のものに刷新してしまうと、土地にどんな生活文化があったか分からなくなる。かといって全てを残すことは難しいので、少しでも残していければいいなと思って活動しています。

 

■「空屋」は今後どんな活動をされていく予定ですか?

 

加藤:衝動買いに近かったんですが(笑)、僕は大学で建築を学んできたこともあるので、自分や協力してくれる人たちと直しながら活動していきたいと考えています。もともとここは時計店だったので、素敵だなと思ってもらえるしつらえに整えて、残されている商品を売ってみたり…町家の良さや歴史を伝えていくことがしたい。だからこそ、この活動を若い人を中心に広く知ってもらいたくて。知ることや関わることで、例えばこの町に残りたいとか、一度出ても戻ってきたいと思うところにもつながるのかなと思っています。

 


 

【しろね町屋あるき研究会】

新潟市南区白根商店街周辺に残る町屋の町並みを活かした地域の活性化に取り組んでいます。

https://www.facebook.com/shironemachiya


 

取材協力:加藤健二(しろね町屋あるき研究会)

ライター:丸山智子

撮影:内藤雅子(Sunday Photo Studio)